2008-08-29

都内では「直葬」が35%という現実!

都内23区に限れば、すでに20%が直葬であり、所によっては35%の地域もあるそうだ。
是非とも非常に興味深い下記の記事を一読いただきたい。
「直葬(ちょくそう)」の流行 〜“お葬式を知らない子どもたち”が急増中〜 日経BP社

2008年8月28日のTV朝日ニュース番組スーパーJチャンネルで、 葬儀価格に大異変!“お坊さん派遣”会社新たな挑戦と題する特集が紹介された。
どちらかの宗門でお坊さんにはなったが、自坊を持たず就職先(寺)がなく、普通のアルバイトをしながらお坊さん派遣会社に登録して読経の仕事を回してもらいながら細々と生計を立てているお坊さんや尼の方々が紹介されていた。

また、その僧侶紹介派遣会社も伝統仏教宗門のお寺を退職したお坊さんが株式会社を立ち上げ社長になり経営しており、葬儀の価格破壊の急先鋒として注目を集めている。
そのお坊さん社長曰く、“事が起こって、慌てて言われるがままにならない”葬儀を提案している。葬式仏教の裏の裏まで知り尽くした方だけにその言葉には重みがある。

最近では、マンション僧なるものも増加しているらしい。
もっとも、結婚式場などで手配する神父さんのよほどの人も、もともと神父などではなく英語講師や六本木で青春?を謳歌している遊学外国人のアルバイトであることが多々ある。これは業界では公然の事実である。
まともな神父や牧師さんであれば、キリスト教徒でもない人間で初見のカップルを宗教儀式で祝福したりするわけがない。とは言っても、ラスベガスのような例もあるにはある。
葬儀や法事にも電話一本で各宗派・無宗派問わず、お坊さんを派遣で呼べるシステムが既に確立して稼動している状況なのである。

また、信じられない痛ましい事件も発生している。
栃木県藤岡町の空き地で一部白骨化した男性の遺体が見つかった事件で、県警藤岡署捜査本部は12日、遺体を東京都江東区南砂の無職斉藤将由さん(77)と特定、死体遺棄容疑で長男の同所、派遣社員斉藤茂容疑者(39)を逮捕した。
茂容疑者は容疑を認め、「7月27日に勤務先から自宅に戻ったら父親が死んでいた。 葬儀費用がなかった」と供述しているという。
ニュースでは、この事件の背景に老人層が終末期に金銭的に疲弊していることや、面倒を見る世代も生活に必死で親の葬儀を従来どうりにする余裕がないと結論づけている。

番組の中でインタビューを受けた町の人も、“お金が無いから死ねない”という中年の女性や、“墓があっても300万ぐらいかかるんだから、お墓のない人はどうするんだろう?”という初老の男性の声を大多数の市民の代弁として紹介していた。

さらに特集は続き、「直葬」なるものを紹介していた。
「直葬」というのは、「お葬式をしないで、火葬だけする葬法」で自宅や病院で亡くなった遺体をそこから直接火葬場に移送し火葬するのである。もちろん、火葬場に僧侶を呼ぶ事などもできる。そこに既載の僧侶派遣会社などの安価な明瞭会計ビジネスが成立するとのことである。

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theme : 気になるニュース
genre : ニュース

2008-08-26

「お寺の経済学」を知れば無明による出費がなくなります!

お寺の経済学お寺の経済学
(2005/02)
中島 隆信

商品詳細を見る

【内容情報】

全国に四万店以上あるコンビニを軽く超え、七万五〇〇〇存在するというお寺。本書では、一〇万人以上の僧侶、六〇〇〇万人の信者が存在するというその巨大マーケットを経済学的に鋭く分析します。
生まれてから死ぬまで、お寺にまったく関係のない人はめずらしい割に、お寺のことをよく知らない日本人が多いのではないでしょうか。
本書を読めば、檀家制度、葬式、戒名、お墓から宗教法人への課税問題まで、お寺の仕組みがよくわかります。葬式仏教と揶揄されるお寺の未来など、現役の僧侶も知っておきたい話題が満載です。

【目次】

序章 今なぜお寺なのか/第1章 仏教の経済学/第2章 すべては檀家制度からはじまった/第3章 お寺は仏さまのもの/第4章 お坊さんは気楽な稼業か/第5章 今どきのお寺は本末転倒/第6章 お寺はタックス・ヘイブンか/第7章 葬式仏教のカラクリ/第8章 沖縄のお寺に学ぶ/第9章 お寺に未来はあるか

【著者情報】

中島隆信(ナカジマタカノブ)
1960年生まれ。83年慶応義塾大学経済学部卒業。慶応義塾大学商学部教授、商学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(以上「BOOK」データベースより)


哲学者や仏教学者ではなく、純粋な経済学者が全く一から取材を始め、坦々と冷静に仏教を取り巻くビジネス、いわゆる“葬式仏教”を痛快に斬っていく。

日本伝統仏教教団運営の常識は、実勢社会の非常識だとし、檀家制度は人質ならぬ墓質制度であるから、ゆっくりとそして確実に20〜30年かけて崩壊していくとみている。
取材のなかで、現職の住職からも「半分程度の寺は淘汰されるであろうし、葬儀や法事が簡略化・緊縮していくのは強い流れであるので、1000件程度の優良檀家を確保しなければ立ち行かなくなる」とのコメントを得ている。
確かにお寺の言いなりであり続ける優良檀家が今後どれだけいるのであろうか?

沖縄のお寺・葬儀・法事事情を紹介し、檀家制度のない沖縄のお寺では、伝統仏教寺であるとか単立の寺であるとかは関係なく、宗教法人を取得していないお寺のお坊さんでさえも対等の立場であるという。

檀家制度のない沖縄では、圧倒的に葬祭社が実権をガッチリと握っており、坊主は葬儀社からの指名待ちであり、葬儀で読経しても顧客ニーズにそぐわなければ、法事の仕事は他の坊主に回されてしまうという。
そのために、坊さんが読経代としてもらった布施のなかから、葬儀社にキックバックする事さえたびたびあるという。本土とは間逆の立場になっている。その上、戒名の習慣もごく最近まで無かった為に、戒名代が高いと喪主に怒られたりするそうである。そうなれば、次回から葬儀社によるご指名はなくなるのであろう。

そして、お寺が生き残る道は、三つの内のどれかしかないと指針を示している。

門外漢の経済学者の目というフィルターを通すと、現状のお寺と葬式仏教のカラクリや浅ましい矛盾点がこんなにも解りやすくなるのかと驚く・・・中泰

『お寺の経済学』で坊主丸儲けは許しません NBonline(日経ビジネス)

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genre : 本・雑誌

2008-08-22

お葬式、苦情最多に!

souginokujyou.jpg
お葬式、苦情最多に 料金・サービス、業者任せ注意!!!

葬儀の契約やサービスについて、全国の消費生活センターに寄せられた苦情や相談が07年度、過去最高の384件に達した。国民生活センターによると、02年度までは年180件前後だったが、5年で倍増。今年度も07年度を上回る勢いで増えている。

契約・解約に関する苦情が全体の70%を占める。「契約と違う異常に高額な祭壇が使われていた」「費用の明細を業者が説明しなかった。サービスに不満があり一部返金してほしい」などだ。

このほか「基本料金プラスアルファで100万円程度の見積もりだったが、実際と違った」「葬祭業者に言われて払ったお経代と戒名料が、後から菩提寺(ぼだいじ)に聞いた額の2倍以上だった」など価格や料金に関する苦情が45%。「ひつぎを運ぶ際、部屋の壁を傷つけたが、弁償を断られた」など業者の接客・対応に関する相談も23%あった。

国民生活センターは、苦情や相談の増加について、消費者の意識の高まりに加え、営業に許認可や届け出の義務がなく業界に新規参入しやすいことが影響しているとみている。今年6月、業者選びや契約・見積もりの時のチェック項目をまとめた消費者向けリーフレットを発行し、全国の消費生活センターなどに配った。「突然訪れる身内の不幸に動転し、業者の言いなりになりがち。複数の業者に見積もりを依頼し、見積もり以外に費用がかかる時は必ず事前に知らせるよう求めることも必要だ」と呼びかける。

センターは、業者の3〜4割に当たるとみられる約1400社が加盟する全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)にも改善を要望。全葬連は昨年、消費者への説明責任や情報開示の義務、見積書や料金の明示などを盛り込んだ指針をまとめた。消費者向けの手引も作り始めており、「喪主は弔問客の対応に追われ、飲食の追加を誰がしたのか、詳細が後からわからなくなることがある。あらかじめ親族などの中から責任者を決め、業者との折衝窓口を一本化するといい」と助言する。

日本消費者協会の消費生活コンサルタント佐伯美智子さんは「葬祭のあり方や業者も多様化しつつある。避けられず、決して安い『買い物』ではないのに、これまで業者任せの人が多かった。トラブルを避けるには、どのような葬式にするか、いくらぐらいかかるのかなどを調べ、普段から準備しておくことも大切だ」と話している。
(出典 Asahi.com)

これだけ情報が溢れ、消費者が賢くなった昨今であるが、葬儀や供養といった分野だけは最後の聖域であるのかもしれない。とはいえ、よく分らない、納得がいかないものにはお金を払わない、という姿勢がこの分野にも必要なのであろう。
お坊さんやその取り巻きの葬式ビジネスに関わる人々に対して性善説で接していると痛い目にあうという事例が増えている事は由々しき問題である。

かつて中古車業界が、信用のならない胡散臭い業界であった時期が長く続いた。
今では、簡単明瞭化のシステムをもって一部上場し、売買ともに確立された透明性のある業者が社会的に認知されることで、ディーラーさえも中古車市場に進出している。

一般の人々の葬儀に対する考え方が多様化する中で、もっとも矛盾をはらんでいることの一つが、仏教徒でないのに檀家であるという事実であろう。あるいは親はある宗門の檀家であるが、息子夫婦は自分が特定の宗教は信仰していないし、むしろ宗教を忌み嫌ってかかわりたくないと考えている。
しかし、自分を育ててくれた親には恩義を感じているし、先祖供養は大切だと考えている。

そこで、宗教によらない葬儀と供養という方向で模索される流れがさらに強まっていく。
ブッダのもともとの教えを伝える原始仏教経典に強く惹かれるわたしにとって、この日本の現状は当然の帰結であるように思えるし、葬式仏教の現実は淋しいかぎりである。・・・中泰

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2008-08-19

インド仏教の今を知る

破天―一億の魂を掴んだ男破天―一億の魂を掴んだ男
(2000/12)
山際 素男 経歴

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著者によれば、ドエライ日本人坊主がブッダ生誕の地インドで、破天荒な奇跡を次々と起こし続けている。
主人公の法名は佐々井秀嶺(ささいしゅうれい)。自分の中にある血筋に苦しみ、甲斐の大善寺で寺男として過ごす。そこで住職に見込まれ、高尾山薬王院に上り得度。しかしながら、日本で納まりきれない秀嶺は、師僧の勧めでタイに於いて二年間修行したが、そこでも自分の居場所を見出せないでいた。
その後、帰国する前についでだからとインドの仏教聖地巡礼の旅にでる。

聖地で他宗派ではあるが、尊敬できる日本人僧と出会い自分の居場所を見つけたかに思えたのもつかの間、日本から来印したその宗派の宗祖とその取り巻きに嫌気がさしていく。

諦めて日本へ帰ると決めた最終日の夜更けに不思議な啓示的夢をみる。
秀嶺は、南天竜宮城=ナグプールを目指す。そこでアンベードカルの仏教運動と出逢い、インドで自分の存在意義を見つけてのめりこんでゆく。

その目まぐるしい展開には度肝をぬかれる。
劇画以上の圧倒的行動力で、インドの仏教徒をとりこにしていく。さらには、身分制度の中で苦しむ最下層民に救いの手を差し伸べ、巨大な仏教組織を作り上げていく。その数、一億5千万人を超えていく。その迫力と成果に本国の本山関係者や師僧も感嘆の声を上げることとなる。

その巨大な数と信仰心に支えられ、時のインド首相に悪態をつき困惑させながらも、大菩薩寺を仏教徒の手に取り戻す運動を生涯の天命として、厚く強固なあらゆる勢力と非暴力で戦っていく。

それはまさに“桁外れで破天荒な菩薩道”である。

そしてインドでは仏教は絶えていたという通説を根本から覆していく。かつてインドに確かに存在していた大乗仏教が、インド人本人達も分らないほど細々と変容しながらも残っていた事を発見し気付かされていく。それも、釈尊と同じシャカ族の末裔によってである。日本で例えるなら、さながら平家の落人といったところであろうか。

現在、絶版のため新書が入手困難なのが歯がゆい・・・中泰



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2008-08-12

「ブッダが考えたこと」 これが最初の仏教だ!

ブッダが考えたこと―これが最初の仏教だブッダが考えたこと―これが最初の仏教だ
(2004/11)
宮元 啓一

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【内容情報】
恐るべし。ゴータマ・ブッダの智慧。最も古い仏典の精読から、ブッダの思索の成り立ちとその核心に切り込む。「ゴータマ・ブッダの仏教」の真実とは何かを明らかにする、画期的論考。

【目次】
第1章 輪廻思想と出家の出現―仏教誕生の土壌/第2章 苦楽中道―ゴータマ・ブッダは何を発見したのか/第3章 経験論とゴータマ・ブッダの全知者性/第4章 修行完成者の生き方―ゴータマ・ブッダのプラグマティズム/第5章 苦、無常、非我/第6章 非人情、すなわち哲学

【著者情報】
宮元啓一(ミヤモトケイイチ)
1948年生まれ。東京大学文学部卒。博士(文学)。インド哲学専攻。現在、国学院大学文学部(哲学科)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(以上「BOOK」データベースより)


いやはや何とも傑出した著作と言うほかない。
15歳で仏教の解明という探究心を心に立てた少年が、宗教者の立場を選ばず、ただひたすらに学究の上に40年以上身を置き、その上で出した手法的結論。

それは、もともとのブッダの教えを説くパーリ語原始仏典を読み解くことであった。
「仏教とはなんぞや?」、著者の下した結論は、「最初の仏教」である。
それはまさしく表題にあるとおり、“ブッダが考えたこと”の解明である。

著者は最後に、仏教は世界三大宗教の一つである、というように、一般的には宗教として扱われている。しかし、ブッダとその教団は驚くほど「宗教」っぽくなかったと力説する。論じる人の立場によって、宗教にも哲学にも思想とも学問ともとることがある。

しかし、著者は断言する。 ゴータマ・ブッダとその教えは、“実践哲学”以外のなにものでもないことを・・・中泰

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2008-08-08

「お布施ってなに?」

お布施ってなに?―経典に学ぶお布施の話お布施ってなに?―経典に学ぶお布施の話
(2007/01)
藤本 晃

商品詳細を見る

【内容情報】
「あげる」「してあげる」お布施は人生の修行です。「お布施」についてお釈迦さまから学ぶ。

【目次】
1 お布施ってなに?(仏教ではお布施もしっかり定義されている/出家はお布施を語らない/バラモンたちもお釈迦さまに尋ねた ほか)/2 お布施にかかわる三者(お布施する人(施主)/お布施を受ける人/お布施されるもの(施物))/3 お布施の疑問あれこれ(「三輪清浄」のお布施って何?/寄付もお布施?/ダマされてもお布施になる? ほか)/4 お布施で「自我」の殻を破ろう

【著者情報】
藤本晃(フジモトアキラ)
1962年2月山口県生まれ。1985年3月学習院大学哲学科卒業。1987年3月龍谷大学修士課程(仏教学)修了。1993年6月カナダ・カルガリー大学修士課程(修教学)修了。2002年7月広島大学より博士号(文学)授与。現在、浄土真宗本願寺派誓教寺住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(以上 「BOOK」データベースより)


現在の日本において、「お布施」に対してどのようなイメージがあるのだろうか?
なんとなく、不透明・不明瞭で怪しげな響きを放っていると感じるのが一般的ではないだろうか・・・。
なかには、人の弱り目祟り目につけこんでマインドコントロールのもとに、信者から大切なお金を巻き上げるシステム、もしくは先祖と墓を人質にとられているのでしかたなく、渋々取られるものという意見も多いであろう。

布施をする行為自体が、布施行という尊い行の一つであることは、一般的に知られていないか忘れ去られているのではないだろうか。

さて本書であるが、どこぞのお坊さんが、集金システムのすり込みを正当化するために話す講和のたぐいとは趣を異にしている。著者自体は、日本の伝統大乗宗祖教に僧籍を置いている訳だが、お布施について大乗仏教とテーラワーダ仏教(南伝 上座部仏教)の両立場の目線で分けて布施論を展開している。

布施の意義の根拠を、もともとのブッダの教えにもとづいたパーリ語仏典にもとめているところに、非常に共感がもてる。根拠としている仏典とその箇所を明記している。

ただし、それを現状の日本伝統大乗宗祖教に当て嵌めようという試みには、どうしてもいくつかの違和感をかんじざるを得ない。頭では著者が言っている事は理解するのだが・・・。
また、宗教とは名ばかりのカルトともいえる教団にお布施として巻き上げられた場合でも、布施しないよりはマシで、それなりに得を積んだ事になるのだという展開には驚かされる。

とはいえ、「お布施ってなに?」という疑問にお釈迦様が説いた“本当のところ”を知る上で、貴重な本であることは事実である。
全般的に、「お布施とは何ぞや?」というところを丁寧に仏典にあたって、一般の人にも解りやすい言葉で書かれた良書だと思う。この手の良識的・良心的手法による本は他に見当たらない。

仏事やお寺の維持のためにするお布施で、「いくら取られたっ!」という言葉を在家の信者に言わせない“仏教・お寺・お坊さん”のそろった仏国土、日本であって欲しいと切望する・・・中泰

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2008-08-01

お盆を前に考える日本人の宗教観

golden_buddha.jpg

日本人の宗教観を客観的に示す代表的二つの数字から紐解いてみたい。

まず一つ目に、文化庁のホームページによれば平成18年12月31日現在で、日本には都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証を経て法人格を取得したものだけでも18万団体以上存在する。

その上、信者数をカウントする手法として各教団に信者数を尋ねたならば、概算で2億2千万人弱となる。上位2系統だけで、神道系が一億人、仏教系が一億人で合計は約2億人となる。
ここまでの数字は、届出を出して宗教法人を取得している団体とその団体の自己申告信者数の積算である。未届団体も相当数あると考えられるので、教団数も信者数もさらに上乗せされるものと思われる。

伝統仏教教団だけを考察してみても、全国の仏教寺院数は約7万7千ヶ寺、僧侶の数は約30万人で信者数は約6000万人存在する。すでに飽和状態と言われるコンビニエンスストアでさえ全国に4万店舗前後である。
日本の人口は、二十歳未満の未成年や未就学児童や幼児までいれても1億3000万人程度である。

日本の人口よりも多い2億を超える信者数をどう考えればよいのであろうか?

いうまでもなく、日本人の多神信仰の顕れであろう。安産・合格祈願・初詣と参りながら、ハロウィン・クリスマス・バレンタインイベントに大挙して参加する国民性である。もちろん、盆踊りもするし節句や豆まきも大事なイベントである。
いにしえの古来より、沢山の神様仏様が存在するこの国土に育った民俗性豊かな日本人の多様性を甘受する懐の深さといったところか。

前出の二大宗教団体も、氏子や檀家だけでなく、その家族や年中行事の参加者までもカウントしているであろう。そこで2重3重のカウントが起こる。
新宗教や新新宗教なども掛け持ちをして入信している人々もいるであろうし、辞めていても正式な脱会手続きをしていなければカウントされるし、脱会を認めない教団も存在する。そうなれば、宗教団体の信者数はひたすらに拡大を続けていく事となる。

二つ目に、読売新聞社が直近に実施した年間連続調査「日本人」で、何かの宗教を信じている人は26%にとどまり、信じていない人が72%に上ることがわかった。
つまり、2〜3割の日本人しか特定の宗教を信じていると回答していないのである。一般の人々と宗教法人との間でこれだけのずれが生じているのであるから驚きである。

宗教法人側の申告によれば、なんと人口比の信者数は約160%である。伝統仏教系だけとってみても信者数は約6000万人というのだから、最低でも46%程度は、特定の宗教を信じていると回答してもよさそうなものである。

どちらかの伝統仏教宗派の檀家でありながら、仏教を信仰していません、信者・門徒・信徒ではありませんという結果が導き出される。日本のオリジナリティーあふれる日本大乗宗祖教は、いまや一般の人々の間で儀式的葬式仏教と捉えられ始めているということを如実に表しているのである。

その一方で、宗派などを特定しない幅広い意識としての宗教心について聞いたところ、「日本人は宗教心が薄い」と思う人が45%で薄いとは思わない人が49%と見方が大きく割れた。
さらに、先祖を敬う気持ちを持っている人は94%に達し、「自然の中に人間の力を超えた何かを感じることがある」という人も、56%と多数を占めた。
多くの日本人は、特定の宗派からは距離を置くものの、先祖崇拝や人知を超えた超自然的力などの何ものかに対する敬虔さを大切に考える傾向が強いのである。

また、これだけ宗教心が薄れつつある日本人にあって、先祖を大切に想う気持ちには根強いものがあるわけであるから、葬儀やお墓に関する考え方も多様化し始めている。

家族葬や友人葬も一般化しつつあり、宗教色を排除した葬儀も都心部では珍しくなくなった。
お経の代わりにヒーリングのCDなどを流し、焼香の代わりに献花をすることで代用する。お墓は、宗教を問わない霊園を買い求める。
仏教にこだわらない葬儀の形は既に確立されている。実家を継ぐ者がおらずお墓を都心近郊に移したり、戒名や法要の問題もこの流れに拍車をかけている。

その一方で、ブッダのもともとの教えを説くテーラワーダ系仏教(南伝・上座部仏教)は、日本で確実に浸透しつつ信者数を増やし始めている。

この流れは、大きなうねりとなりつつある。

かといって、既存の日本のオリジナリティーあふれる日本大乗宗祖教が否定されるわけではない。
選択肢が増え、刺激的に切磋琢磨する環境があることは、宗教者側にも信仰者にとってもプラスに働くものと期待する。

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