2008-08-01
お盆を前に考える日本人の宗教観

日本人の宗教観を客観的に示す代表的二つの数字から紐解いてみたい。
まず一つ目に、文化庁のホームページによれば平成18年12月31日現在で、日本には都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証を経て法人格を取得したものだけでも18万団体以上存在する。
その上、信者数をカウントする手法として各教団に信者数を尋ねたならば、概算で2億2千万人弱となる。上位2系統だけで、神道系が一億人、仏教系が一億人で合計は約2億人となる。
ここまでの数字は、届出を出して宗教法人を取得している団体とその団体の自己申告信者数の積算である。未届団体も相当数あると考えられるので、教団数も信者数もさらに上乗せされるものと思われる。
伝統仏教教団だけを考察してみても、全国の仏教寺院数は約7万7千ヶ寺、僧侶の数は約30万人で信者数は約6000万人存在する。すでに飽和状態と言われるコンビニエンスストアでさえ全国に4万店舗前後である。
日本の人口は、二十歳未満の未成年や未就学児童や幼児までいれても1億3000万人程度である。
日本の人口よりも多い2億を超える信者数をどう考えればよいのであろうか?
いうまでもなく、日本人の多神信仰の顕れであろう。安産・合格祈願・初詣と参りながら、ハロウィン・クリスマス・バレンタインイベントに大挙して参加する国民性である。もちろん、盆踊りもするし節句や豆まきも大事なイベントである。
いにしえの古来より、沢山の神様仏様が存在するこの国土に育った民俗性豊かな日本人の多様性を甘受する懐の深さといったところか。
前出の二大宗教団体も、氏子や檀家だけでなく、その家族や年中行事の参加者までもカウントしているであろう。そこで2重3重のカウントが起こる。
新宗教や新新宗教なども掛け持ちをして入信している人々もいるであろうし、辞めていても正式な脱会手続きをしていなければカウントされるし、脱会を認めない教団も存在する。そうなれば、宗教団体の信者数はひたすらに拡大を続けていく事となる。
二つ目に、読売新聞社が直近に実施した年間連続調査「日本人」で、何かの宗教を信じている人は26%にとどまり、信じていない人が72%に上ることがわかった。
つまり、2〜3割の日本人しか特定の宗教を信じていると回答していないのである。一般の人々と宗教法人との間でこれだけのずれが生じているのであるから驚きである。
宗教法人側の申告によれば、なんと人口比の信者数は約160%である。伝統仏教系だけとってみても信者数は約6000万人というのだから、最低でも46%程度は、特定の宗教を信じていると回答してもよさそうなものである。
どちらかの伝統仏教宗派の檀家でありながら、仏教を信仰していません、信者・門徒・信徒ではありませんという結果が導き出される。日本のオリジナリティーあふれる日本大乗宗祖教は、いまや一般の人々の間で儀式的葬式仏教と捉えられ始めているということを如実に表しているのである。
その一方で、宗派などを特定しない幅広い意識としての宗教心について聞いたところ、「日本人は宗教心が薄い」と思う人が45%で薄いとは思わない人が49%と見方が大きく割れた。
さらに、先祖を敬う気持ちを持っている人は94%に達し、「自然の中に人間の力を超えた何かを感じることがある」という人も、56%と多数を占めた。
多くの日本人は、特定の宗派からは距離を置くものの、先祖崇拝や人知を超えた超自然的力などの何ものかに対する敬虔さを大切に考える傾向が強いのである。
また、これだけ宗教心が薄れつつある日本人にあって、先祖を大切に想う気持ちには根強いものがあるわけであるから、葬儀やお墓に関する考え方も多様化し始めている。
家族葬や友人葬も一般化しつつあり、宗教色を排除した葬儀も都心部では珍しくなくなった。
お経の代わりにヒーリングのCDなどを流し、焼香の代わりに献花をすることで代用する。お墓は、宗教を問わない霊園を買い求める。
仏教にこだわらない葬儀の形は既に確立されている。実家を継ぐ者がおらずお墓を都心近郊に移したり、戒名や法要の問題もこの流れに拍車をかけている。
その一方で、ブッダのもともとの教えを説くテーラワーダ系仏教(南伝・上座部仏教)は、日本で確実に浸透しつつ信者数を増やし始めている。
この流れは、大きなうねりとなりつつある。
かといって、既存の日本のオリジナリティーあふれる日本大乗宗祖教が否定されるわけではない。
選択肢が増え、刺激的に切磋琢磨する環境があることは、宗教者側にも信仰者にとってもプラスに働くものと期待する。
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